kmpen148のいろいろ

日常生活の雑感を書き出しています。備忘録的役割。

【感想】『きみは赤ちゃん』

読了:川上未映子『きみは赤ちゃん』文春文庫、2017年。

 大学以来に川上未映子氏の本を読みました。本書は川上氏の妊娠〜1歳までの育児の期間に体験したこと、そして感じたこと、考えたことが綴られているエッセイです。

 正直なところ、川上氏については小説『わたくし率インハー、または世界』とエッセイ『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』しか読んでいないんですけど、大学時代にそれらを読んで結構な衝撃を受けたんですよ。内容云々ではなく文体に。
 一文一文が非常に長く、本来「。」で区切ってもいいところも「、」で繋げてしまっていて、かと言って読みにくいわけでもなくちゃんと伝わってくる、かと思いきや短文がスパッスパッと続いたりもする、そんな文章の書き方が非常に印象的でした。これはぜひとも味わっていただきたいのですが、ただまぁ、合わない人にはとことん合わないかなぁなんて思いもしました。


 本書ではそこまでの繋げ方はしていないので当時の感覚は味わえなかったのですが、それよりも内容的に色々と思うことはありました。

 というのも、先程も触れましたが、本書は川上氏自身の妊娠〜1歳までの育児の期間について綴られていて、ちょうど今の私自身の境遇と近い時期のことだったからです。

 しかし、ここには絶対的に違うもの、男女の差というものがあり、川上氏はそこについての辛辣な気持ちをご主人の「あべちゃん」にぶつけている部分もあります。それでも「親」という枠で考えれば共感できる部分も多々ありました。

 生まれたばかりの息子がただ存在しているだけで胸の底からいとしいというかかわいいというか、なんといってよいのか見当もつかない気持ちであふれているのに、それとおなじだけ、こわいのだ。息子の存在がこわいというのではなくて、その命というか存在が、あまりにもろく、あまりに頼りなくて、なにもかもが奇跡のようなあやうさで成り立っている、そしてこれまで成り立ってきた、ということへの感嘆というか、畏怖というか、それはそんな、こわさだった。


(中略)


 わたしがいま胸に抱いているこの子は誰だろう。どこから来た、いったいこの子はなんなのだろう。わたしとあべちゃんが作ろうと決めた彼は赤ちゃんで、わたしのおなかのなかで育ち、そしてわたしのおなかからでてきた赤ちゃんなのだけど、でも、肝心なところ、彼がいったいなんなのか、どれだけみつめても、それはわからなかった。そして、やっぱり彼は、わたしとあべちゃんが作ったわけでは、もちろんなかった。かわいい。とてもかわいい。そしてとても小さくて、あまりにもろく、目を離したらすぐに消えてなくなってしまうんじゃないかと思ってしまう。これまで出会ってきたどんな人とも物ともちがう存在のしかたで、まだ言葉も記憶ももたない息子は、わたしに、ただじいっと抱かれているのだった。

 この、かわいい、とにかくかわいい、でももろくて、ふと目を離したら消えてしまうのではないか、という怖さみたいなものは私も当時、いや、今でもずっと持ち続けています。子供が生まれて初めてこの手で抱いたとき、「生まれてきてくれてありがとう」と本当に感激したし、とにかくかわいかったのは今でも鮮明に覚えています。

 しかしその一方で、抱っこするときにちょっと力が入ってしまっただけで骨が折れてしまうのではないだろうかと内心は触るのも怖かったし、もう一度川上氏の言葉を借りるなら、「その命というか存在が、あまりにもろく、あまりに頼りなくて、なにもかもが奇跡のようなあやうさで成り立っている」ということを目の当たりにしたような気がします。


 それから1年は経ち、お肉も付いて、肌もすべすべで、自分の足でそこら中を歩き回るくらいに逞しく成長を遂げてはいますが、それでもまだまだ「奇跡」のような存在で、朝起きたらふと消えてるんじゃないだろうか、夢だったんじゃないだろうか、なんてよく分からない不安に駆られることもあります。まぁ、こんなことを奥様に話したことはないんですけどね。


 そして、文庫版のあとがきにもこう書かれていました。

 子育ても五年めに入ると現実的に慣れる部分もたくさんあるし、何かしらのコツみたいなものもようやくつかめてきた、というところはあるのだけれど、しかしどうしたって慣れることのできない本質的なものがあって、それは今日も一日、子どもの命があるかどうかということで、妊娠してから今日の日まで、それが失われるかもしれないという恐怖を感じない日はありません。
 でも、これにかんして親ができることといえば、ほとんど祈りに近いようなものになりますよね。命というものが、ものすごく微妙で、じつに曖昧で、原則的には個人がどうすることもできない偶然のうえに成立している──わたしにとってこの五年間と、そしておそらく残りの人生は、きっとその認識を生きることそのものであると、そんなふうに感じています。

 5年経っても消えることはないのか……いや、でも、そうだろうな…。5歳にもなると行動範囲も広がって、1歳の頃とはまた別の危険性もあるし、この不安は一体いつまで続くんでしょうかね。それこそ親それぞれの個人差はあると思うけど。

 1歳くらいまでは乳幼児突然死症候群、いわゆるSIDSなんかの危険性があるけれども、たとえその時期を過ぎたとしても突然の病気なんていつ発症するか分からないし(大人ですら分からない)、今後保育園、小学校と成長していくにつれて、私たち親の目から離れている時間も長くなってきます。きっと、多分、私はそんな不安をずっと持ち続けるような気がします。

 それがいつになったら消えるか分からないし、もしかしたら消えないかもしれないけれど、子供の成長を見守っていくためには自分自身も少しでも長く健康でいなくてはいけないとなぁ…なんて思います。
 私がここまで何不自由なく生きてこられたのもある意味では「奇跡」で、だからといって今後、病気や命の危険に曝されることはないとは言い切れないので、何気ない日々でも毎日を大切にしていかないといけないんですよね。なんて壮大なことにまで考えが巡ってしまいましたが、まぁ、そんなことを考えさせられる本であったことは確かです。

 これ以外にも、うーむ……と考えさせられるところもあれば、クスッと笑えてしまうエピソードもあり、興味深く読める内容でした。


 今回はこんな感じです。


つみたてNISAの評価額も面白いように下がっている


 101円台とか久々に見たなーって感じです。いやね、別に普段から円相場を気にしているわけではないんですけど。ただ、つい最近、数日前くらいまでは108〜109円って数字を見かけたので一気に円高が進みましたね。
 あわせてダウ平均株価もかなりの下げ幅らしく、世界的に経済は大打撃っぽいですね。


 一応、政府推奨のつみたてNISAに手を出しておりまして、毎月本当に少額ながらも突っ込んでいっているのですが、やっぱりここ最近は面白いくらいに下がっていて、数字の上では不況を実感しているところではあります。

 そもそも株とか投資信託とかには全然興味なかったんですけど、数年前に自分のお金周り、ポイントやらキャッシュレスやらを見直しまして、その時に知ったのが「つみたてNISA」と「iDeCo」だったんです。まぁ、銀行にいくら預けていても利子がたったの1〜3円なので、だったらマイナスになる可能性はあるけど、勉強の意味も込めてちょっと手を出してみてもいいんじゃないか…という気持ちに駆られてつみたてNISAを始めてみました。

 iDeCoとも制度を見比べてみましたが、60歳からしか引き出せないという点が一番気に掛かる部分だったので、割と自由に出し入れできるつみたてNISAの方を選びました。宇宙飛行士を養成していそうな名前もなんかカッコよかったですし。


 始めるにあたっては結構色んなブログやらFPさんが書いている記事やらを読み漁って銘柄を決めようとしたのですが、本当に三者三様で、制度が始まったばかり(初年度の6月くらい)ということもあって明確な実績もなかったので、とりあえずまぁコレでいいやーという軽い気持ちで「楽天・全世界株式インデックスファンド」に毎月3,000円だけ突っ込むことにしてみました。年間上限の40万円に対してたったの36,000円なのでどれだけ少額かが分かると思います。

 どのみちこれで儲けようなんて気持ちはさらさらなく、なんならいざ始めたらもうほったらかしが前提のつもりだったので知識の仕入れもほったらかし状態で、結局投資信託そのものの深い勉強すらしていません。これはいずれもう少しちゃんとしたいとは思うんですけどね。

 ちなみに、つみたてNISAは楽天証券でやっているのですが、同時に楽天銀行も開設してマネーブリッジを利用することで普通預金金利を引き上げています。これも先程言ったお金周りの見直しの一環です。
 そして途中からは、楽天銀行の口座引落実績を稼いでランク上位を狙うために「eMAXIS Slime 先進国株式インデックス」を追加して毎日投資もしてみましたが、楽天銀行のランク制度が改正されたことで毎日投資の魅力がなくなったので毎月に変更したり……。

 たまーにいじってはいますが、基本はほったらかしです。自分のお金なのに「へぇー下がってる下がってる」とどこか他人事のように観察していて、これがまた面白いですね。多分、今でも月1万円行かない金額でしかやっていないってのもあると思います。本当はもう少し増額してもいいかなーとは思っているんですけど、それで生活資金が足りなくなったら本末転倒なので今後の生活状況の様子を見てって感じですかね。


 結局のところ、今回のこの状況でもスルーして、まぁ、数年経てば徐々に戻っていくでしょ、くらいの楽観視はしています。専門家から見ると「何言ってんだコイツ」みたいに思われるかもしれませんが。
 

 今回はこんな感じです。

ポケモン剣盾のマジカル交換を利用してみました

 先日任天堂のマイページを見てみたら、意外とニンテンドーポイントが貯まっていました。これまで別に意識的に貯めていたわけではないし、なんならメールで失効間近のお知らせを受け取ってもスルーしていたくらいなんですけど、せっかくなんで何かと引き換えてみようかなーと。

 ちなみに「プラチナポイント」と「ゴールドポイント」の2種類があって、貯め方などは以下をご覧ください。

 ゴールドポイントはソフト購入時やオンライン月額から引けるみたいなのでもうちょっと様子を見るとして、今回はプラチナポイントを使って「オンライン7日間無料体験チケット」と引き換えてみました。

 そもそもポケモンでインターネットを介して交換するにはオンライン加入しなければいけないんですが、正直どこまでやり込むか分からなかったし、今後Switchのソフトをどれくらいの頻度でやるかも見通しがつかなかったので見送っていたんですよね、まぁ、無料体験できるならやってみっかーという感じです。


 そして、早速ちょっとした実験をしてみました。
 すでにやられている方は多いと思うので別に目新しいことではないんですが、ポケモン剣盾の交換システム「マジカル交換」でボックス1個分(30匹)を交換したらどんなポケモンと交換できるかってことです。
 ポケモンホームでは前回の感想記事でも触れたように、ドラメシヤがかなり多かったですね。それが本編だとどうなるのかなーと気にはなっていたんです。


 で、まずは用意したこちらから送る用のポケモンが次の画像のとおりです。

 サルノリ〜ピィは孵化の余り、ロトムポケモンホームで立て続けに送られてきたことがあったのでそれの横流し、他はなんとなく選んだポケモンたちです。
 孵化の余りと言っても厳選しているわけではないので(多分)高個体でもないし、適当に選んだのも別に捕まえにくいとかではないので、こちらからマトモなポケモンたちを提供できないのが申し訳ないですね。


 そして、結果がこちらです。

 予想していたよりもバラけましたね。もっとドラメシヤが多いかと思っていたのですが、たったの1匹だけでした。そして、有り難いことにまだ図鑑が埋まっていなかったゴンベとリオルが送られてきました。送ってくださった方々、誠にありがとうございます。

 正直未だに「個体値」の見極めとか分からないので、もしかしたらこの中にそれなりに高個体のポケモンがいるかもしれませんが、まぁ、その辺は気にしていません。ある意味、図鑑が埋めにくい2匹が来てくれて助かりました。


 もうさすがに1ボックス分をまとめてマジカル交換することはないと思いますが、せっかくなので無料期間中は積極的にマジカル交換を続けてみたいと思います。


 今回はこんな感じです。


PS2が20周年を迎えたようなのでちょっとばかし思い出を語ってみる


 この記事を読んで、なんともうPS2が発売されてから20年も経つのか…という驚きと、あぁ、時間を忘れてハマったゲームもあったなぁと懐かしさが込み上げてきました。


 今ではもうお役御免となり手放してはいますが、私のゲーム史にはしっかりと刻み込まれています。ただ、当時はまだ10代だった(発売当時は小学生高学年か…?)ということもあり、到底自分の手には届くものではなく、かと言って親にお願いしたところで買ってもらえるものではありませんでした。だから、同年代で持っている人は羨ましかったですね。

 そして数年経ったある時、多分お年玉とかの貯金でしたかね、晴れて自分のお金で購入することができました。だけど、記事にも書かれていたように、本体のバリエーションが多すぎて何系シリーズだったか記憶が曖昧で、とりあえず後半の頃に見かけていた薄型ではなくて、多分30000だったと思います。画像見た感じ、同じ姿だった気がしますので。


 記事中でもいくつかのソフトが取り上げられていますが、私がやっていた作品(シリーズ)も取り上げられていました。「三國無双」「モンスターハンター」「ドラゴンクエスト」あたりです。

 まぁ、そうは言ってもPS2で出たナンバリング全てやったわけではなく、例えば「三國無双」は4から始めたので、記事に書かれていたような初期作品ほどの不便さはなかったと思います。プレイアブルキャラクターも結構な数がいたし、各キャラにストーリーモードがあったし、爽快感はありました。そして、これと対を成す「戦国無双」、さらにはこの2シリーズが合体した「無双OROCHI」もやり込んだ記憶があります。

 「三國無双」では時々、マンネリ化を防ぐのが目的なのか、ガラッとシステムを変えてくることもあったけど(5や8)、結局不評で元の形に戻る様子を見るとなんだかんだ大勢の雑魚キャラをバッサバサ斬り倒していく爽快感が求められているんだろうなぁと思いますね。


 「モンスターハンター」に関してもやり始めたのが2(ドス)からだったので(これについては以前、モンハン歴をまとめた記事を3本立てで書きました)、記事中の初代モンハンについての内容を読んでびっくりしました。

 片手剣は抜刀しながらアイテムが使えない。大剣は溜め攻撃ができない。ハンマーは縦振りにフィニッシュが無いし,そもそも初代ではモンスターがスタン(気絶)しない。ランスは攻撃と回避が繋がらないし,3連ステップができない。ボウガンはモーションに大きな変化はないが,弾が高価だし,調合で弾を1発作るのに約2秒もかかるので補充も一苦労だ。

 初代モンハンで最大の不便かつ大問題な点が,回復薬を店売りしておらず,売られている回復アイテムが薬草のみということ。回復薬を作るには薬草とアオキノコが必要だが,このアオキノコがなかなか採れない。

 今では回復薬なんて当然のようにお店で買えますし、なんならすぐに回復薬グレートに調合してしまうので回復薬自体はほとんど使わないことがよくあります。そう考えると、やること自体は変わらないけど、システム面はどんどんハンターに有利になったんだなぁと思いますね。


 まぁでも、記事の中で紹介されていたゲームでは、あとは「零 -ZERO-」と「ドラゴンクエストⅧ」(Ⅴもハマった)くらいですね。他のは「タイトルは知っている」程度です。


 それ以外で印象に残っているのは、「ラジアータストーリーズ」と「プロ野球スピリッツ」です。


 「ラジアータストーリーズ」は途中からストーリーを人間側で進めるか、妖精側で進めるかという分岐が発生し、二度楽しめる作品でした。仲間にできるキャラクター数も結構な数がいて、ユーザーの好みが割と反映できる作品だったかなとは思います。まぁ、結局強めのキャラは決まっているから最終的にはそいつらでパーティーを組むことになってしまうのだけれど。


 「プロ野球スピリッツ」(プロスピ)は初代から買いました。それまでたまにパワプロシリーズをやっていましたが、プロスピのリアルさに触れたときには感動しました。特に6はちょうどWBC第2回大会が開催された年で、WBCモードも収録されていて、詳しくは覚えていないのですが、各国で有名な選手は紹介文もありましたね、確か。

 そして何より感動したのは、日本代表に収録されていたイチロー氏のリアルさ。この1点にだけ全技術を注ぎ込んだんじゃないかってくらい、ひとつひとつの動きが細かく、打撃フォームも、顔も、まさにイチロー氏だったことを覚えています。そもそもプロスピの初代が2004年なので、すでにメジャーに行っていたイチロー氏をこんな形で操作できるなんて思ってもいませんでしたよ。

 ちなみに、プロスピ2011からはPS2版の制作が終了してしまいましたが、その後はPS3版を購入してやっていましたね。2015以降は制作がストップしていたのですが、昨年、4年ぶりの新作としてプロスピ2019が発売されました。さすがにもう買いませんでしたが、今後も制作は続いていくのだろうか……。

 
 こうして思い出してみて、実際にやったゲームのタイトル数や本数は少ないかもしれないけれども、お気に入りのシリーズをやってきたこともあり、やっぱりPS2は十分に楽しんだなぁ……と懐かしくなりましたね。


 今回はこんな感じです。

【感想】『幸福な食卓』

読了:瀬尾まいこ幸福な食卓講談社文庫、2007年。

 2009年に一度読んでいるのですが、瀬尾まいこ氏の作品の中でも印象に残っている作品の1つで、久々に読み返してみました。


 瀬尾氏の作品では特に「家族」について描かれていることが多く、だけど、単に「家族」と言っても様々な形の家族が描かれています。本作品もそのうちの1つで、それが冒頭部分でいきなり出てきます。

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。
 私は口に突っ込んでいたトマトをごくりと飲み込んでから「何それ?」と言って、直ちゃんはいつもの穏やかな口調で「あらまあ」と言った。

 たったこれだけの文章ですが、メインとなる登場人物を一気に3人登場させ、なんとなーく彼らの性格というか、物語における立ち位置的なものが詰め込まれているような気がします。いや、今後の展開を知っているからそう感じるだけかもしれませんが、とにかくこの冒頭部には読者を物語にグッと引き寄せる力があるように感じます。こういう部分が瀬尾氏の文章で上手いところだよなぁー、と思います。

 父さんは「父さんを辞め」、いわゆる「父親」という役割を捨て、何と言うんでしょうかね、そういう役割は持たずに1人の人間として生きていこうとします。教師という仕事を辞めて医学部合格に向けて受験勉強をしたり、近所をふらふらと散歩したりとやりたいことを自由にやっていこうとします。
 それに対して、「私」、中原佐和子はどこか違和感を覚えながらも父の選んだ道を受け入れ、兄である「直ちゃん」は父さんを辞める宣言の時点であっさりと受け入れます。この性格の違いには過去のある出来事が関係しているのですが、その辺はこの物語の中核になる部分なので割愛します。

 ちなみに、この家族は、お母さんだけは別居しています(離婚はしていない)。これもやはり過去のある出来事が原因で、みんなと一緒にいるとどんどん自分を追い詰めてしまうため、距離を開けることになりました。しかし、佐和子は頻繁にお母さんが1人で住むアパートに通い、たくさんの会話をしています。そんなある時、次のような話をします。

「うちの家庭って崩壊してるのかな?」
 私がプリンにスプーンを突き刺しながら言うと、母さんが目を丸くした。
「どうして? 恐ろしく良い家庭だと思うけど」
「父さんが父さんを辞めて、母さんは家を出て別に生活してる」
 坂戸君の言うのが家庭崩壊なら、うちだって立派に崩壊してる。
「でも、みんなで朝ご飯を食べ、父さんは父さんという立場にこだわらず子どもたちを見守り、母さんは離れていても子どもたちを愛している。完璧」
 母さんは笑った。
「でも母さんはまたアパートに帰るんでしょ」
「そうよ」
 母さんは当然のことのようにあっさりと言った。

 私は「家族」って本当に色んな形があると思っています。そして、それでいいと思います。家族はプライバシーの究極的な部分だとも思っていて、外から見ただけでは本当の姿なんて分かりません。いわゆる世間一般的には「普通」に見える家族でも、実は家庭内の会話は無で、家庭内暴力によって家庭崩壊しているかもしれません。その一方で、本作品のように両親は別居していても子供を心から愛し、子供もそれを実感できている、そんな家族だって数多くあるかもしれません。

 どういう形が良いか悪いかというのは一概には言えないし、だからこそ色んな形があっていいし、そういう内面的な部分っていうのは外からではなかなか見えにくい部分です。部外者が勝手に踏み込んであーだこーだ言えるものではないと思います。もちろん、命の危険性などがある場合は別の話ですが。

 私自身、もともとこういう考えをずっと持っているのですが、これはCLANNADが影響していて、CLANNADにも結構色々な形の「家族」が出てきます。そして、そこに瀬尾まいこ氏が作る物語たちと出合ってより一層強く思うようになりました。瀬尾氏の作品にも、いわゆる「普通」ではない家族の形が描かれていて、でも、「それでもいいよなぁ」と思わせてくれるものばかりなんです。


 最後に、佐和子の彼氏「大浦君」と直ちゃんの彼女「小林ヨシコ」がそれぞれいい味を出しています。終盤に「おっと……」となかなか衝撃的な展開を迎えるのですが、それは是非ご一読いただければと思います。


 今回はこんな感じです。


ポケモンホームを使ってみた感想(無料プラン)

 先日近所を散歩していたら、すれ違う人のほとんどがトイレットペーパーかティッシュペーパーを手にしていてなんだか滑稽でした。


 さてさて、先月、「すべてのポケモンが集まる場所」をコンセプトにポケモンホームがリリースされました。

 ざっくり言うと、過去作のお気に入りポケモンを最新作の「ソード・シールド」(剣盾)にも連れてこれますよ、ってことなんですが、とりあえず無料の範囲でできることはひと通り試してみました。その使用感についてちょっと文章化しておこうかなぁと思います。

 
 最初、「ポケモンバンク」みたいに有料しかないと思っていたのでスルーするつもりだったんです。私自身、なんだかんだポケモンの最新作が出ると手を出してしまうタチなのですが、基本的にはそのソフト内で完結させてしまうため、最新作にまで連れていきたい欲はほとんどないんですね。しかし、無料でも基本的なサービスは遊べるということで始めてみました。

 ポケモンホームで何より有り難かったのは「GTS(グローバル・トレード・ステーション)」の復活です。インターネットを介して見知らぬ人とも交換できるシステムで、過去作では選択しなかった御三家、片方にしか出ないポケモンや交換進化のポケモンなど冒険の仲間集めはもちろんのこと、図鑑集めにも大活躍でした。
 しかし、剣盾では廃止されてしまい、「X・Y」(XY)から導入された「ミラクル交換」の流れを汲む「マジカル交換」のみとなってしまい、個人的には結構ガッカリしておりました。まぁ、そもそも剣盾はオンラインに加入しないと交換を含めインターネットを介したサービスを使えないのですが、そのせいもあって未加入で遊んでいました。


 ところで、ポケモンホームには「ミラクルボックス」「GTS」「グループ交換」「フレンド交換」の4つの交換システムがあります。その中で私が特に利用しているのは、「ミラクルボックス」と「GTS」で、それらの使用感を簡単に書きたいと思います。

ラクルボックス

 これはいわゆる「ミラクル交換」で、ボックス内にポケモンを預けておくと勝手にランダムで交換してくれるというものです。無料プランだと3匹まで預けられるので、一応常に3匹預けています。

 体感的には、現状では剣盾に移せないポケモンも含めて、結構色々なポケモンが流れてきますね。過去作御三家のケロマツニャビーも流れてきました。他にも、つい最近パッチルドンが流れてきたおかげで化石4種類が揃いましたし、アローラ地方のロコンなんかも流れてきて結構楽しいです。


 ところで、「サン・ムーン」(SM)のミラクル交換ではかなりの割合でキャモメが流れてきましたが、ポケモンホームだとドラメシヤが圧倒的に多い気がしますね。
 前者は単純に手っ取り早く捕まえられるからだと思うのですが、後者はあれですかね、育成トレーナーの厳選で弾かれたパターンですかね。野生ではそう簡単に出てこなかった気がしますし。とりあえずドラメシヤが流れてきたらそのままミラクルボックスに預けて横流ししています。

 有料プランだとボックスに預けられるポケモンが10匹まで拡大できるのでもっと一気に交換できるんですけど、まぁ、3匹でも十分かなーという感じです。伝説のようなポケモンはきっと流れてこないし、逆に流れてきたら改造を疑ってしまいますが、気長にのんびりやる分には概ね満足です。

 また、ポケモンホーム内には専用の全国図鑑があるので、それが埋まっていく楽しみもあります。

GTS

 ミラクルボックスとは異なり、特定のポケモンを交換したい時に使っています。交換方法は従来と大きな変更はなく、こちらが欲しいポケモンで検索して相手が望むポケモンを渡すか、こちらが欲しいポケモンを指定して交換用のポケモンを預けておくかの2パターンです。

 無料プランだと預けられるのが1匹だけ(有料は3匹)ですが、もともとのGTSは1匹しか預けられなかったので使えるだけで十分です。また、こちらが検索して交換する方法ももちろん無料プランでも使用することができるので、色々と検索してみて条件が合えば交換しています。

 ただ、こちらが検索する方法については、従来のGTSからそうでしたが、相変わらず相手の望むポケモンが釣り合わなすぎるものが多いですね。これはもう改善できないんでしょうな。
 GTS導入当初は伝説を要求するトレーナーばっかで埋め尽くされ、こちらと似たような条件で交換したいトレーナーが埋もれてしまうという難点があり、どっかのシリーズで伝説を条件に出しているトレーナーを除くことができるようになっていてポケモンホームでもそれは引き継がれてはいるんですけどね…。

 とにかくそんな状況で、要求されている割合が特に高いポケモンが、ベベノムビビヨンのような気がします。正直、この2匹は知らなかったので調べました。

ベベノム (べべのむ)とは【ピクシブ百科事典】

ビビヨン (びびよん)とは【ピクシブ百科事典】

 ベベノムは、私がやっていなかった「ウルトラサン・ウルトラムーン」(USUM)で追加されたウルトラビーストでした。ビビヨンはXYで追加されたポケモンで、どうもDS本体の国やら地域やらの設定によって柄が異なり、十数種類の柄があるみたいです。おそらくそれらを集めるために多く要求されているんだと思います。いやー、XYはやったことあるけど全然知りませんでした。

 ビビヨンはまぁね、しょうがないと思うんですよ。GTSでは世界各国のトレーナーと交換できるわけですし、多分ビビヨンの入手そのものも難しくないでしょうから交換成立しやすいとは思います。
 だけど、ベベノム含むウルトラビーストはもはや伝説と同じ扱いで弾いてもらいたいですね。逆にベベノムを要求している人は本当に交換できると思っているんですかね。交換しようとしているポケモンキャタピーやポッポですよ?普通に考えたら交換してもらえるとは思えないんですが。
 ただまぁ、ポケモンには各界隈独自の通説というか常識がありそうで、ただ単にストーリーを楽しめればオッケーな私にはその辺の事情はよく分かりません。


***


 交換についてはこんなところです。

 私のような使い方だと無料プランでも十分だとは思うんですが、唯一の難点は、ポケモンホーム内に格納できるポケモンが30匹までということですかね。交換で入手して残しておきたいポケモンが、剣盾に移せるならいいんですけど、現状では移せないポケモンも数多く存在します。そうするとポケモンホーム内に残し続けなければならないので、段々とホーム内が逼迫していきます。
 6月あたりに追加コンテンツでリストラされていたポケモンの一部が解放されるようなので、そこで対応されれば移せることになると思いますが、当然対応されなければポケモンホーム内に残ったままになってしまいます。この辺はまぁ、様子見というところです。


 今回はこんな感じです。

「情報の担保」について思いついたことを書いてみる

 いやー、まぁ、世の中色々と大変そうですね。そこかしこで臨時休業が相次いでいて経済的にもなかなかのダメージなんじゃないかなぁ、と素人目線でもそう思います。


 ところで、こういう状況になるとよく思うのが、インターネット、特に個人的に利用頻度の高いTwitterに対してなんですけど、「情報の担保」みたいなことなんですよね。いやまぁ、別にテレビの情報番組とかもそうなんですけど、端からアテにしていないので除外します。
 「情報の担保」ってなんかそれっぽく言いましたが、要は「その情報の信頼度はいかほどなのか」って話です。


 こういう事態になると「明らかなデマ」、「デマとまでは言えないけど怪しい」ツイートをよく見かけます。普段からそうだって言われりゃそうなんですけど、とりわけ増える気がします。体感的な話ですが。

 そんな中でもよく見かけるのが、「知人の話によると〜」って枕詞で、今であれば「医療関係の」って枕詞がさらにくっついています。もうね、敢えてツイートをここに載せることはしないけど、Twitterをやっていれば目に付くと思います。こんなのなんて、クレヨンしんちゃんの隣のおばさんがみさえに「ちょっとちょっと〜、◯◯さんが言ってたんだけどさぁ〜〜」と変わらないですよね。

 仮にその「知人」とやらが本当に存在しているとして、そもそも又聞きの時点で情報の内容が100%伝達されているのかも謎だし、根拠になるようなデータやら資料やらが何もないのにそんなの信じろってのが「いやいや無理だよ」って話なんですけど、そういうスレッドを覗いてみると支持率が高いことも結構あって「なんだかなぁ…」という感じになります。
 また、「知人」という第三者を登場させることによって自分の責任を薄くしているというか、いざとなったら「いや、自分の意見じゃないし」って逃げ道を作っているんでしょうね。


 そして、そのデマなり信憑性の薄いツイートがどんどん拡散されていくわけですけど、拡散する人にも分類みたいのがあると思っています。

  • 明らかにデマと分かっていても面白半分で拡散する人
  • なんかよく分からないけどリツイート数が多いから拡散しておく人
  • 完全に信じ切っていて拡散する人

 こんなところですかね。
 いや別にそこは個人の自由だから、その怪しい情報を信じたければ信じればいいとは思いますけど、客観的に見ていると、この拡散している方々はその情報の正確性やら何やらを確認しているのかなぁ、とはなるんですよね。


 その一方で、政府やら専門家やらが発表した情報については散々「そんなの嘘だ!」「こんなデータがあるから間違っている!」と批判なり粗探しなりをするんですよね。
 そんな時ほど根拠になりそうなデータを持ってきていることも多く(まぁ、そのデータも怪しいことはありますが)、なんでそれを他のツイートのときもやらないのかねぇ、とは思うんですけど、こういう人はおそらく単純に政府を叩きたいだけなんでしょう。
 もちろん、その人と先程のデマを拡散する人が同一人物ってことはほとんどないのですが、「ツイート」って枠で見たときの傾向です。


 とまぁ、こんな感じで観察しているんですけど、私自身は10年くらいTwitterを使ってきて、基本的にTwitterは素晴らしいコンテンツだとは思っています。
 ただ、一定の距離感は必要だと思っているので、こういう類のツイートを見掛けてもあくまで傍観者という立場でいるようにはしています。10年間の経験で培ったTwitter生活上の処世術的なものですかね。

 口を出すとこちらに飛び火してくるのは明らかだし、そういうツイートしている方はほぼほぼ自分が正しいことを言っていると思っているのでこちらの意見には耳を傾けないだろうし、まぁ、そんなんにわざわざ労力かける必要もないですしね。

 昔から「Twitterなんて人それぞれ好きなように使えばいい」って考えはずっと変わっていませんが、だからこそその辺の見極めは重要になってくるのかなーと思っています。


 とりあえず、まぁ、マスクは致し方無いとしても、つい最近のトイレットペーパーやらティッシュペーパーやらが不足する事案は割と定期的に起こっている気がするので、「過去に学ぶ」ということはできないのでしょう。


 なんか言いたいことを言いっぱなしのような内容でしたが、今回はこんな感じです。