kmpen148のいろいろ

日常生活の雑感を書き出しています。備忘録的役割。

価格自由という「実験」に期待を込めて

先日、『実験思考』という本を読みました。

https://www.yodobashi.com/product/100000086600856742/


この本の特徴は、販売方法。

紙の方は原価のみの値段で販売し、電子の方は無料ダウンロードで、読んだあとに読者が自由にお金を払うというもの(以下サイトで支払いができます。)。

 

ただ、支払いは強制的なものではなく、当然払わなくても問題はありません。また、読者が自由な価格を支払えると言っても、ある程度段階的に価格が決められており(その価格に応じて特典もある)、1円単位では決められません。


筆者は、目の前のアイテムがお金に変わることで有名な「CASH」というアプリを作成した光本勇介氏。


とにかく「ぶっ飛んでいる」ことを「実験してみる」。

これまで、この考えに基づいて起業などをしてきて、その結果どうだったか、それに対して何を考えたか、ということが書かれています。

「ぶっ飛んでいる」といっても、それは決してめちゃくちゃなものではなく、その時代時代で「必要とされているのではないか?」「こんなニーズが隠されているのではないか?」という部分に着目し、それを満たせるサービスを開発するということです。

例え失敗に終わっても、「失敗」という経験が光本氏にとって唯一無二の価値になるとのこと。


この本を出す経緯などは検索していただければ関連記事がたくさん出てきますので、その辺は割愛させていただきますが、この本の販売方法もその考えに基づいて「実験」しています。


さて、私がこの本の存在を知ったのは、あるインターネット記事を読んだときのことで(どの記事だったかは忘れました…)、内容云々よりも販売方法に注目しました。


昔から出版業界には興味を抱いていたのですが(「働きたい」というのとは別の意味で)、その頃からどうも気になっていたのが、本の値段です。

なぜどの本屋でも同じ値段で売られているのか、と。

 

私の大好きな500mlペットボトルのジンジャーエールを例にしてみると、コンビニでは140円、100円ショップでは100円、自動販売機では150円、ディスカウントストアでは75円のように、お店が異なれば値段も異なって売られています。他にも「セール品」として安売りされている商品だってあります。

 

それなのに書籍は、三省堂に行こうが、紀伊国屋に行こうが、丸善に行こうが、はたまたヨドバシ.comで頼もうが、原則同じ値段で売られています(ポイント還元等は考えません)。

この辺の事情を知らなかった当時の私は色々と調べてみたのですが、どうやら「再販制度(再販売価格維持制度)」によって決められているらしい、と。

簡単に言ってしまうと「出版社が定めた値段で売ってね!」とされていることを知りました。

ちなみに、電子書籍には適用されないみたいですが、出版社が直接販売していることが多いので、値段は結局紙書籍とあまり変わらないようです。

 

この再販制度の導入、そして今も続いている背景は色々とあるみたいですが、ここでは割愛させていただき、とにかく制度で決まっているとはいえ、なんだかねぇ…という感じでもやもやをずっと抱いておりました。


まぁ、そんなもやもやが心の片隅に長年残っていた状態で出会ったこの「実験」。

なかなか再販制度という壁を崩すことはできないにしろ、少しくらいは揺るがす存在にならないかなぁ…と期待しています。

いや、おそらく、同じようなことを考えた人なり会社なりはあったんじゃないか、と。ただ、実際に行動できずに終わることがほとんどだったのではないか、と。


今後、こうした形で売られる本がもっと出てこないだろうか。


ところで、価格自由のサイトには現在の金額がカウントされておりますが、この記事をアップする前に確認したところ、支払人数2,112人、支払総額96,081,500円ということで、1人当たり約45,493円を支払っている計算になります。本の中でも語られていますが、定価は1,500円らしいです。

 

ただし、これはあくまで「支払った人」しかカウントされていないので、「読んだけど支払わなかった人」が一体どれほどなのかは分かりませんが、この人数が多ければ多いほど、本当の意味での1人当たりの単価は下がっていきます。

とは言っても、「支払った人」は平均で定価の約30.3倍は支払っていることになるので、ここをどう捉えるかですね。

そのうち結果が出ると思いますので、それを楽しみにしたいと思います。


ちなみに私は、内容云々よりも販売方法に期待を込めたこととサイト上に名前を載せてもらいたかったので定価以上を支払いました。

 

今回はそんな感じです。